愛すべき、藤井。
そんな俺と夏乃の関係は、きっとこの先卒業したとしても続いてく。
そう勝手に思ってた。
だから、余計……
『私が藤井にした、正真正銘本気の告白!!藤井が腹抱えて笑った、私の決死の告白!!』
夏乃のあの日の言葉が、いつまでもいつまでも頭から消えてくれない。
『藤井に女として好いてもらえるように、もっと可愛くなろうって頑張ってたのに、合コン行くだの、彼女出来るかもだの、サマーバケーションがどーたら、挙句 何が立花と付き合えば?だ。クソくらえ』
本当に1mmも夏乃の気持ちに気づいていなかった俺の本当にどうしようもない言葉の数々が、これまで夏乃にどれだけ無理させて、どれだけ辛い思いをさせて来たんだろう。
そう思ったら、無性に胸が痛くなった。
『好きだって、藤井が好きだって言ってんのに……無神経だよ、バカじゃん、ふざけんなっつーの』
中学3年生からずっと一緒にいたのに、夏乃が泣いてるところなんて初めて見たし、言っちゃえば「は?夏乃って泣くの?」とか思った。
それくらい、笑ってる夏乃しか俺は知らなくて。
考えてみれば俺が思ってたよりもずっと、俺は夏乃のことを知らないんだなって……改めて気付かされた日だった。