愛すべき、藤井。


いやでも待てよ。立花は知ってるんだ?


夏乃がそんなムキになって怒るくらいだから、その内容を立花は知った上で、夏乃に何か言ったってことだよな?


……は、俺なんも聞いてねぇし。
だからあの日、夏乃は立花と一緒に来たのか?

どうせ同じ場所に行くんだから、一言言ってくれりゃ俺が一緒に行ったのに。

まぁ、別に関係ねぇけど。


「はいはい、また今度ね!」


「バイバイ」と、俺との電話を切る時よりも少し柔らかく感じる口調で電話を切った夏乃に、なぜかモヤモヤが込み上げてくる。


俺との電話切る時のお前、いっつも「じゃ!」とか言って速攻ブチるじゃん。

対応の差が激しいんですけど。


「藤井からも立花くんになんか言ってよ!毎日のように電話すんな!って」

「は?何で俺が」

「仲良いんじゃないの?」

「……つーか、お前が『また今度ね!』とか言うからだろ。嫌なら嫌だってハッキリ言えよ。なんだよ『また今度ね!』って」


そんなんだからイケるかもって思われんだっつーの。バカ女。


「だって、あんまり強く言うと……色々あるんです!」

「なんだよ、色々って」


立花に悪く思われたくないとか?
なら遊びに行けばいいじゃん。意味分かんねぇ。
< 85 / 280 >

この作品をシェア

pagetop