愛すべき、藤井。


「シンデレラは女だろうが!!」

「だからギャグ感を……」

「ギャグ感に俺を使うなよ!!バカじゃねぇの」

「いいじゃん、クソ笑えるよ」



くすくすと小さく笑う夏乃に、今さっき自分が何を考えていたのかサッパリ忘れてしまった。


勘弁しろよ、男のシンデレラとか誰が見てぇんだよ。嘔吐者続出だぞ!


「お前がやればいいだろ!」

「だって先生が求めてるのはギャグ感」

「夏乃がシンデレラやったってギャグだろ」

「誰がプリンセス並に麗しいって?藤井」

「いや、言ってねぇ!プリンセス並に麗しいなんて一言も言ってねぇ!」


こんなキャラの夏乃が、突然シンデレラ役とかやったら最高にギャグだろ。

大口開けて笑うし、暴言吐きまくりで言葉遣いは悪いし、チャリの後ろで足開いて乗ってるし、


って、


「お前そう言えばジャージ穿いた?」

「んーん」

「しばくぞ」


何のために俺がチャリこいでると思ってんだよ、クソ女。後ろでも見えるときゃ見えんだぞ。


ほんっと、こいつ男心なめてやがる。
知らねぇからな、強風の日にスカートめくれてパンツ見えても。間違って俺に見えたりしてみろよ?



金とるからな。

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