愛すべき、藤井。
え……??
まさか、神田って
「夏乃のこと、」
「……とにかく、あんまりアホなこと言ってると、泣くことになるのは藤井だから」
「覚えておくように」そう続けた神田は、勢いよく立ち上がった。
「ちょ、まだ話の途中……」
「俺の話は終わったから。またな」
「……おい!神田!?」
俺の呼びかけに振り向くこともなく、ガチャッとドアが閉まる音だけが響く。
嘘だろ、何?夏乃ってそんなモテるわけ?
何気なく一緒にいたけど、もしかして俺のせいでアイツ彼氏出来なかったのか?
いや、でも夏乃が好きなのは……。
そこまで考えてすぐに首を横に振る。
夏乃に、もう忘れろって言われてたんだっけ。
つまり、夏乃は前に進むってことで。
俺じゃないやつが、夏乃の隣を歩く日が来て……
「それって、ありかよ」
ベッドに背中から倒れこめば、ギィッと軋みながらも俺を受け止めてくれる。
お前だけだよ、俺に優しいのは。
あー!もういっそ、ベッドが擬人化したらいい。そしたら人間の女なんかいらねぇのに!!!