宙、優しい君は.

声の主はわかっている。
だけど振り向いてはいけないような気がした。

そう思った瞬間、

「先輩、、こんばんわ」

と、その声の主が私に反応した。
私は勇気を振り絞って振り返った。

声の主────春咲は私のことを見つめたまま、笑顔で

「祭り、来てたんだな」

と言った。



あの時、私はどんな顔をしていたのだろう。
きっと真っ赤になっていたのだろうか。

「こんばんわ、春咲も来てたんだね」

そんなぎこちない返答しかできなかった。

すると、そんな私たちの間に割って入るようにしてある人物が入ってきた。

< 119 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop