宙、優しい君は.
帰り道の途中で、落田君がふと立ち止まった。
「…?どうしたの?落田君」
「先輩…春咲に告った人がいるって、知ってますか?」
きっと香澄ちゃんのことだ。
だが、言って良いのかも分からなかったので
「どうして?」
と聞き返した。
すると、思いがけない返事が返ってきた。
「バド部の1年生女子が、春咲に告ったんです。
でも、そいつ振られて…その、振られた理由が
『好きな人がいる。その人は2年生。』
っていう理由だったんです。
だから、俺、春咲と涙先輩仲良いから涙先輩のことが好きなのかなって思って…」
私は胸が苦しくなった。
例えこの話が嘘だとしても春咲には好きな人がいる。
それが自分だという可能性があるかもしれない。ということに。
「好きな人が、私かなんて分からないよ。
勝手に春咲の好きな人決めちゃったらあいつに悪いしね」
「ですよね!なんか、ごめんなさい!」
落田君が懸命に謝るので、私は
「大丈夫!大丈夫だよ!?」
と対応した。