宙、優しい君は.
待ってるのに
呆れた。
自分の好きなように指示を出して最後の最後には春咲だけを…?
「分かった。春咲も探してくる。」
私はそう言って落田君の元を離れた。
やっぱり。体育館の中で柚奈と春咲の姿が見えた。
2人の方に近寄り、「柚奈」と呼んだ。
楽しそうに話していた2人はこちらを向き、春咲は
「向井先輩、俺そろそろみんなのところ戻ります。」
と柚奈に告げた。
次の瞬間、春咲が私の横を通り過ぎる時に私以外聞こえないくらいの声で
「ごめん、ありがとう」
と言ったのが聞こえた。
その意味をあまり理解出来ず、私はただ立っている柚奈を見た。