宙、優しい君は.

その言葉にまた、心を動かされた。

「お前のこと、先輩なんて言う目で見たくない。
だって…俺は、涙が…」

春咲がとても真剣な声で私の名前を呼ぶ。
だけど、このままこの渦に巻き込まれてしまったら…


「春咲、体育館の中に入りなさい。先輩の言うことを聞いて。」

「涙…」

「春咲!先輩の言うことを聞いて!」


初めて後輩に怒鳴ってしまった。
しかも春咲に。


やや足早にその場を去った。目が熱くなる。

春咲が何を言おうとしたのか、何となくわかる。
だけど、それを受け入れてしまえば…



きっと、もう────
< 67 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop