宙、優しい君は.


しばらく歩いていると終わりの時間が来たようだ。


「春咲って、この先真っ直ぐだよね?
私、ここ曲がるからじゃあね、」

そう言いかけると

「俺、こっちに用あるからまだ平気」

と春咲が言い出した。
私は心の中で小さくガッツポーズをすると春咲と歩き出した。

数分後、私の家の前につくと春咲は

「じゃあな、ちょっとだったけど楽しかったよ」

と言って自転車を漕いでいった。

私も春咲に聞こえるくらいの大声で

「ありがとう!!!」

と叫んだ。


ドアを開けて中に入る。
当たり前の動作がなんだかギクシャクしてる。

(春咲と一緒にいられた時間は、もう終わりか…)


今はそれしか考えられない。
切ない。寂しい。



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