空の向こう

「ママ!お兄ちゃんが!お兄ちゃんが消えちゃうよ!」

「なに言って…」


不思議そうにあみに近づくと、はっ何かに気づきあみに問いかけた。


「お兄ちゃんがいるの?」

涙をこぼしながら、頷き、あみは俺のほうに指を指した。

「お兄ちゃん…なの?」

何年ぶりにか向けられた母親の目は、懐かしい綺麗な黒い瞳をしていた。


「かあ…さん」

「もし、そうならずっと言いたかったことがあるの…。」


そう言うと母は体を丸め、土下座をしながら言った。


「ごめんなさい!」

!?
その言葉に驚きを隠せない。


「今まで、ごめんなさい!もっとあなたを見てあげられなくて…っ!」


体を震えながらいう母の姿を見て、今まで母のしてきたことを思い出した。
俺をずっと探していたこと、一人暮らしをしてからもお金を援助していたことを、俺が頑固になって帰らなかったことを。


「母さんが…悪いんじゃない」


母には声がどうしても届かない。
姿も見えない。でも気持ちが届いている気はした。
すると、それを悟ったのか、あみが俺の言葉を母に伝えてくれる。


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