空の向こう
母も俺の言葉を聞いて、声が漏れた。
「くまのぬいぐるみも、あみを助けてくれてたのも…っ!本当に!本当に…ありがとう…」
泣いている母を、強く抱きしめた。
俺は愛されたかったと思っていた。
でも、違った。愛されてたんだ。
「お兄ちゃんなの?…お兄ちゃんがくれたくま・・・お兄ちゃんが助けてくれたの?」
「あみ・・・助けてくれたのはあみだよ。お前は俺の心を救ってくれたんだ。一人じゃないと思えた。…ありがとう・・・・」
最後に言葉をかけると消えてしまった。
「さよなら・・・」
「おにいーちゃん!!!!ありがとう!!」
あみの声が遠くに聞こえた。
本当にあみが生きててよかった・・・。
本当によかった。
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気が付き、目を開けると、眩しい光が目に入る。
「お疲れさまです」
「天使・・・」
起き上がると、天使が目の前にいた。
「あなた様を天国へお連れします」
「・・・ああ」
天使に連れられると長い白い綺麗な道が現れた。
その道を見て立ち止まる。
「いくか!」
一歩踏み出した俺の足は、迷いも、戸惑いも何にもなかった。