俺の大事な宝物~短編~



「高校・・・。いいですよね!

私も行きたかったな・・・



そもそも小学校も中学校も手伝いとかしてすこししか行けてないので、あまり学校というものが分からないんですけどね⋯」





「そんなにお金がないの?」




「はい⋯。

おばあちゃんが残してくれた少々のお金もさっき使いはててしまったので、家出をしてきました。」





「家出?家に誰かいるの?」




「いえ、誰もいないですよ。」



誰もいない・・・?




「それって家出なの・・・?」



「自分の家から出てきたので家出です!」



家出というより解約のような気もするけど


やっぱり少し変わってる子だな・・・





父は出ていき、母は物心ついた時には亡くなっていたと言っていた。




「ずっと面倒を見ていてくれてたおばあちゃんも

最近、調子が悪くてずっと入院してるんですよ・・・。」




こんな不幸な子に初めて会った。

小さい頃から大変だったんだな


それはお金に困るわけだね。

さらに入院とあっちゃね⋯。




まぁ俺も人のことは言えないけど。



同じ道をもう何度も歩いてはいたが、

今度は俺の話をした。



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