涙のあとで、風は吹く。
 それを察してか、香穂は避けるように立ち上がる。



 「ハルくん。ごめんね、もう行かなきゃ」


 「香穂……?」


 「ハルくん……。ハルくん……、大好き」


 「僕も、大好きだよ……」



 再び、手を伸ばそうとする。


 けれどその前に、また強い風が吹いた。
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