永久の誓いからの逃亡
「うるせーよ。
もうとっくに卒業してるに決まってるだろ!」

生意気なことを言う明日香をしっしっと手で払う。

明日香には、俺の気持ちなんか全て筒抜けで、昔はよく協力をしてくれていた。
お姉ちゃんと悠斗くんが結婚したら、悠斗くんは本当に私のお兄ちゃんになるね、なんて笑いながら。

「強がっちゃって」

俺の気持ちが筒抜けなのは、今でも変わらないらしい。

卒業できるもんなら、とっくにしてるよ。
どんだけ長い片思いだと思ってんだ。

「ちなみに、もう籍とか入れてんの?」

「あー、どうだっけ?

…って、駄目だよ!
略奪しようなんて考えちゃ!

大体、今まで何回もチャンスがあったのに、幼なじみっていう関係を壊すのが怖くて告白できなかった悠斗くんが悪いんじゃん。

今さらお姉ちゃんの幸せ奪おうなんて、まじでやめて」

う…。
そんなこと考えてねーけど、念を押されると落ち込むな。
恐るべし女子大生の手加減を知らない率直さ。

痛い。
胸が痛いよ…。
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