永久の誓いからの逃亡
高校1年の夏。
俺が忘れた弁当を真綾が教室まで届けてくれた。

いつものように俺のことを“悠ちゃん”と呼んで。

そう呼ばれることが常だったから返事をしたが、弁当を受け取って席に戻った俺は、仲の良い男子にすっげーからかわれた。

女子に“悠ちゃん”って呼ばれてんのかよ、と。
面白がって、暫く仲間からそう呼ばれた。

俺にとって、それがすごく嫌だった。

だからそのイライラを、真綾にぶつけてしまった。

“悠ちゃん”と呼んだ真綾に向かって、“その呼び方やめろよ。高校生にもなって気持ち悪い”と。

かなりきつい言い方をした。

その時の悲しそうな表情。
ごめんという震えていた声。
そして、瞳いっぱいにたまった涙。

今でも鮮明に覚えている。
忘れたくても忘れられない、人生最大の後悔だ。

あの日を境に、真綾は俺のことを、“悠斗くん”と呼び出した。
他の女子は俺のことを悠斗と呼び捨てなのに。

それがひどく距離を置かれたようで、自分のことを呼ばれてるとは思えなかった。
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