永久の誓いからの逃亡
一気に静まり返る。

ソファーに座っている私は、隣にいる駿くんに背中をさすられていた。

「もう大丈夫?」

「うん」

声を出すと、また泣きそうになる。
それをぐっと堪える。

「駿くん、ごめんなさい。
本当に、ごめんな、さい…」

「もう謝らなくていいよ。
俺こそ…。

真綾がいなくなったって聞かされてから、すごく動揺した。
それで、スタッフの人達が探してくれるってなったんだけど、真綾が行きそうな場所とか、なんでいなくなったのかとか、俺、何も答えられなかったんだ。
こんな男、夫として失格だよな」

「違う」

私は大きく顔を横に振った。

そんなことない。
駿くんに悪いところなんてなに1つないんだから。

「私が…、私が勝手に不安になって、ありもしないことたくさん想像して…。
そしたらどんどん悪い方に考えがいっちゃって…。

…控室の前に、駿くんの会社の女性がいたの。
たぶん、前に夜中に電話かけてきてた人。

駿くんがモテるのは知ってたし、それが誇らしくもあるんだけど、実際目の当たりにしたら苦しくなったの。

それで…。
いつか、駿くんを好きでいるのがつらくなるんじゃないかって思ったら、恐くなった」

本音をぶつけることが、こんなにも勇気のいることだなんて知らなかった。
大好きな相手だからこそ、言いたいことが言えなくなってしまう。
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