永久の誓いからの逃亡
「ねぇ、どうして怒らないの?
私、駿くんとの結婚を…、捨てようと…」

「捨てようとなんかしてないでしょ」

ピシャリと否定された。
いつもの駿くんだ。

「捨てようとしたんじゃなくて、距離を置いたんだろ?
自分と向き合えるように。

昔の…、真綾と出会う前の俺なら怒ってたかもしれない。
少なくとも不機嫌にはなってたよ。

でも今そうじゃないのは、俺がつらくなってる時には真綾がいつも、まず話を聞いてくれたからだよ。
どれだけでも待って聞いてくれる。
それまでの俺の人生にはない経験だったんだよな。
待ってもらえてるって、精神的にすっげー助かるんだよな。

だから、真綾を待とうって思ったんだ。
必ず戻ってくるって確信があったし

あと…」

こんなことをした私を責めずに、気遣ってくれる。
これ以上ないくらいに好きだって思ってたけど、まだ好きになる。

また最後に何か言おうとして止めた。

さっきから、何を言おうとしてるんだろう。

「あと、何?」

聞いてみると、苦笑いでこちらを向いた。
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