永久の誓いからの逃亡
「頑固だね。

雷雨にさらされるか、俺に抱かれるかを選べって言ってるんじゃないんだよ?」

「な、何言ってるんですか!」

「だから、手は出さない。

…ように心がける。

あんなに怖がってる園川さんを連れ込んで抱こうなんて思ってないから。
そんな、弱味につけこむような真似はしたくない。

たがら、なんて言うか…。
このまま帰すのは心配なんだよ。
俺を安心させるために泊まっていって!」

安心させるため?
そんなの、信じていいのだろうか。

でも、こんなふうにちょっと焦ってる山道さんは珍しいかも。
大抵笑ってるか、余裕のある表情をしてるかのどちらか。
時々仕事の打ち合わせ中の真面目な顔を見たりするけど、それもどこか楽しそうだったりもする。

一応、私の身を案じて提案してくれてるみたいだし、信じてみようかな。

「では、すいません。
お言葉に甘えさせていただきます」

「そっか。
よかった」

こうして、私は山道さんの借りている部屋に一泊させてもらうこととなった。
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