永久の誓いからの逃亡
それから暫くして、山道さんから折り返し電話がかかってきた。

来週末の食事のお誘い。

バラされたくない私は、行きますと短く返事をした。

素直だね、なんて電話の向こうで山道さんは笑いながら言ってるけど、断る選択肢なんて、初めから与えられていないでしょ。

結局、上手く掌で転がされている。

でも、電話の終わりには、いつもの山道さんらしく弾みのある声で、楽しみにしてるよと言ってくれた。

その瞬間、鏡に映った笑顔の私が見えてはっとした。

笑うなんてありえない。
嬉しいと思うなんてどうかしてる。

おやすみなさいと言って通話を終えると、携帯を持ったままベットに寝転んだ。

さっきよりも、心が軽くなったような気がする。

こんなの、おかしいよ…。
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