永久の誓いからの逃亡
「今の段階で結婚の話をしたら、園川さんに引かれてしまうと思って言い出さなかったけど…。

園川さんの方からなんて、急にどうしたの?

俺のもとに来る気になった?」

なんとなく、聞いてみただけです。そう応えようとして、喉元まででかかった言葉を押し込んだ。

「…」

でも、代わりの言葉が何も出てこない。

「なんなら、婚姻届書く?」

婚姻届。
妙に現実感の薄いその響きに、首を傾げる。

山道さんのその瞳が、じっと私を捉えて離さない。

この人、本気なの?
私たち、付き合ってもないというのに。

やっぱり変な人。

でも…。
これは私にとってまたとないチャンスだ。
悪魔がそう囁いた。

顔を上げて、山道さんを見返す。

「書きます」

山道さんの目が驚いたようにわずかに大きくなる。
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