永久の誓いからの逃亡
振り返ってみると、男性を下の名前で呼ぶなんて、滅多になかった。
人生において2人目だろうか。

…そもそも、男性と関わる機会が少なかったからな。

それに比べて駿くんは、いつも女性が傍にいる人生を送ってきている。
会社では、女性に限らず男性にも好かれているみたいだし。
とにかく人に囲まれているのが似合う人。
華やかで、眩しい世界の人。

…そんな人が、どうして私なんかと?
なんで私と結婚しようって思ってくれたんだろう…?
スキとは言われたけど、それってどうして?

理由を聞いたら、教えてくれるかな?

私は駿くんについて知りたいことがたくさんある。

たくさん…。

聞けないのは、私が駿くんに隠してることがあるから。
自分は隠し事をしたまま相手のことを知ろうなんて、そんなのズルい。

わかってる。

このまま隠し通すことなんてできるのかな。

でもそうすることが、きっと全てが丸く収まる方法なんだろう。

はぁ、と重たい息をひとつついた。
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