永久の誓いからの逃亡
「すっげー緊張する」

「え?」

駿くんが緊張?
見ている分には全然わからないけど、そんなこともあるんだ…。

左手の薬指に、ゆっくりと指輪がはめられた。
それを見てると、今までに味わったことのない感動が胸を満たしていく。

「俺たちの愛の証だね」

愛の証。

そんなに素敵なものを、私が貰ってもいいんだろうか。
そう思いながらも、嬉しくて仕方ない。

この気持ちをそのまま駿くんに伝えたい。
感謝とか喜びとか感動とか、たくさんありすぎて、ふさわしい言葉を見つけられないから。


前に駿くんが言ったように、私はとっくに駿くんのことを好きになっているみたい。
ひょっとしたら、好きなんて優しいものじゃないかも。
私はもう、駿くんからは抜け出せないくらいに捕らわれているんだから。

本当は、思いが強くなるほど、もしものことを考えてしまって怖くなる。
必死に考えないようにするけど。

でも、今日からはこの指輪がある。
愛の証であるこの指輪が、ずっと私たちを繋いでいてくれることを信じよう。

愛する人がこうして傍にいてくれることが、こんなに幸せなことだってことを駿くんは教えてくれた。

いつか、私も返せる時がくるのだろうか。

いつか、返せるといいな。
< 96 / 183 >

この作品をシェア

pagetop