七瀬クンとの恋愛事情
そんな彼女たちに、追い討ちをかけるように話し掛けた脇谷くん

「あっそういえば俺、七瀬と彼女見かけたよ。
この前仲良く手繋いでるとこ」

「えっ?」

3人組が足並み揃えて振り返る

「暗くて彼女の顔は見えなかったが、あれは七瀬のがゾッコンだな」

「うっ…」

そう言われて今度は一瞬で引いた彼女だちは「失礼します」と、そのまま戻って行った


「……………」

「クックックッ…」

一体この人は彼女たちの話をどこから聞いてたんだ?

私はこの同期である脇谷くんと言う人の性格を知っている
要領がよく、空気の読める男だ


「ほ、本当に見たの?その、七瀬くんと彼女……」

たぶん
さっきの見た事あると言うのは嘘だろう

だって、彼は新婚の家に帰るために極力仕事は早く終わらせて、私たちより遅く会社を出た事なんてほとんどないはず

まあ………七瀬くんが私以外の人とそうしていたなら話は別だが

「いや、見てないよ」

ほら、やっぱり

「でも実際にあいつ自身彼女がいるって宣言はしてんだろ?」


「……そ……そうみたい…ね」

少し伏し目がちに脇谷くんの隣でコーヒーを注ぐ

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