七瀬クンとの恋愛事情
「だったらいいだろ、そう言っておいたって別に支障は無いと思うだろ?」
「え?」
この人の感がいい事を忘れて、まるで自分に言われてるみたいで、つい顔を上げてしまった
「あれ?本当に狙ってたりする?七瀬のこと」
「………っんな訳ないでしょっ」
システムキッチンの流しに腰を凭れ掛けながら、その場で砂糖とミルクを入れたコーヒーを啜る脇谷くん
「クックックッ、しかし言われてたな。松原っていつ社長の愛人やってた?」
「…………くっ」
「30に見えないって褒められてたじゃん、若作りだけど」
「………大きなお世話よ」
いつまでも肩を揺らせながら笑う脇谷くん
「あの場で松原が乗り込んでいったら後々大変だっただろ?」
「うっ…」
確かに、あの場で彼女たちに文句を言ってたら余計に嫌われてただろうな
「ま、役職のある女子正社員ってキツいと嫌われるからなぁ。仕方ないよ、気にすんな」
そう言って私の背中をポンっと押すように叩いた
本当に、助けられたんだか貶されたんだか