七瀬クンとの恋愛事情
*・*・*・*

入社2年目の春
まだ私は、一人で仕事の流れをまとめるのに必死だった

「まだ残業、かかるの?」

誰もいないと思って静かにオフィンスで、PCを立ち上げていると、まさかと思う人物に声を掛けられた

「す、すみませんっ。一応タイムカードは帰社にしているんですが、どうしても納得しておきたくて………」


「残業につけてないの?」

「自己満足です、って言うか勉強みたいな………」

この会社を統括するこの人に、どの口が言えたんだろう


「職務規定外ってこと?」

「………はい」

まずい、これはもしかしていけない事だったかも

「えらいね」

そう言ったその顔は少し複雑に微笑んでいた


「えっ…と、宗馬社長は………?」

「終わったら松原さん、ご飯食べに行こうか」


「え?」

「まだ終わらない?」


「い、いえっ!終わりましたっ」



普通絶対ありえないこのお誘いを、どうして断ることが出来るだろうか

今、思い返せばあの日あの時あのタイミングで会社にいなければ、

いつかのあんな想いはしなかったかもしれない


その時、社長とやって来たのはお酒も飲める小洒落た洋食屋

経営者なのに決して傲った態度はとらない彼と、
そこで私たちは社内でのいろいろな話をした

「じゃあ松原さんの思う、今一番会社に必要な物ってなんだと思う?」
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