七瀬クンとの恋愛事情
同期で一番仲が良かったのが、普段はおとなし目の事務員として入社した綾子だった
実は、お互い酒好きだというところで気が合っていた
そんな彼女と今まで女子高生の様にしていた恋バナの中、実は密かに綾子も宗馬社長が好きなんじゃないかと思っていたからだ
私も黙っていたのだからフェアじゃなかったと思うが
そんな私たちの、
上手くいっているはずの関係がおかしくなったのは、それから半年くらいたった頃だった
会社内では、バレてからすっかり私と社長の仲は大っぴらにはしない内の静かな噂となっていた
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「………え、今日も?」
「ああ、すまないね」
いつもながら忙しい人だと分かっていたし、約束なんて守られた時の喜びに取っておけばいい
でも、少し都合が良すぎるくらい約束の日に接待の予定が入るものだと思う事もあった
キャンセルされたデートの穴埋めに、仕方なく同期の綾子と脇谷くんを飲みに誘ったが
「………ごめん、私も今日は予定が」
綾子は捕まらず、脇谷くんと二人なのもなんだし、高科さんと3人で飲みに行った
「高科さん、正直うちの会社って大丈夫なんスかねぇ」
「えっ?」
いつものようにチビチビといっこうに減らないグラスビールに口をつけながら、真剣に言う脇谷くん
「さあな、少し苦しいらしいな。大口の興業産業に切られちまったから」