七瀬クンとの恋愛事情
「倫子さん、金曜の会社の飲み会は参加しないんだ」
会社を別々で退社し、お互い示し合わせながら同じ駅の改札を出る
「そう、別口の御呼ばれなんだよねぇ」
脇谷くんに誘われた花菱との食事会のことだ
結構毎回座敷のいいとこでやるらしく、美味しいものがタダで食べられるから楽しみでもある
そんな話をしながら
今日は途中でスーパーに寄り道した後、うちでご飯を食べることにした
七瀬くんがうちに寄るようになってから、豊田さんの待ち伏せに出会うことはなかった
張り紙もあれ以来貼られる事はなく、ただの悔し紛れの嫌がらせだったのだと思う
それにしたって、しばらくは私も警戒しながらビクビクした日々を過ごしていたんだから
おかげで、最近一人で帰る事になる時にはマンションまでの道のりからの人影に警戒するくせがついてしまった
七瀬くんからリクエストされたカレーを作り始めながら、彼には買い物してきた食品を仕まう手伝いをしてもらった
「花菱商事ってことは担当の脇谷主任と?」
「私と脇谷くんと、あと高科課長もね」
その名前にピクリと反応する七瀬くん
「高科課長も?」
「そりゃぁ、営業担当だもん」
「…………」
なんか不機嫌そうに口を尖らせている