七瀬クンとの恋愛事情



「遅くなるんですか?」

キッチンで忙しなく支度するそばから私を覗き込む


「さぁ、でもたぶんそんなには遅くならないと思うけど」

「じゃあその日、俺の会社の飲み会後からここ来ていい?次の日休みだし」


「ん?いいけど……」

会社の飲み会かぁ、だから遅くなるつもりなのかな?
確かにうちの方が帰りは近いし楽だし、でもすれ違ったりしないかなぁ







「えー、松原主任も参加出来ないんですか?」

「ごめんね、花菱の食事会が今日だから」

週末の飲み会に私達中堅も誘われたが、私や脇谷くんらは不参加だと言うと、古坂さんは残念と口を尖らせた

「脇谷主任にはいろいろ聞きたい事があったのに」

「ん?脇谷くんに?」

珍しい。脇谷くんに聞くような話の接点なんてキラキラ女子の古坂さんあるものなのか?

もごもごと口を濁らせチラリと私に顔を寄せてきた

「脇谷主任が七瀬のデート現場に出くわしたって本当なんですかねぇ?」


は?
七瀬くんのデート現場??  
え?七瀬くんが誰とデートしてたの?いつ?



………ってそれ、もしかして脇谷くんが前に適当に言った話か……?

『あっそういえば俺、七瀬と彼女見かけたよ。
この前仲良く手繋いでるとこ。暗くて彼女の顔は見えなかったが、あれは七瀬のがゾッコンだな』




「あーー」

「すっごい可愛い子で七瀬のがゾッコンだって聞いてなんだか信じられないんです」
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