七瀬クンとの恋愛事情


「あれ、七瀬………くん?」


「どうします?
カラオケ、場所は聞いてますけど」

いつの間に、カラオケ………?


「え、どうして?七瀬くん行かなかったの?」

いつから眠り込んでたんだろう、重たい頭を片手で覆い持ち上げると少しフワリとして

あ、ちょっと飲み過ぎたんだ私


「俺、倫子さんほっとけないから」

そう言ってニィっと口の両端を上げ、見える控え目な白い歯に、また心臓を揺らされる

(きゅぅんーーっ)


「……………っ」

黙れ私の心臓、相手は6歳年下のイケメンだ

一体、お前は自分が何歳だと思ってるんだ!?


さっさと立ち上がって………帰らな、


「ったぁ、わっ!」


って、思ったより脚に力が入らなくて




「…………あ、………ありがとう」


両腕を後ろからがっしり持たれ、まるで猫か犬みたいに簡単に抱えられた






「………七瀬くんはカラオケいいの?」

少しフラつきながらも歩けない訳じゃない、
とりあえず駅に向かって2人で歩きだした


「ああ、金ないっスから。倫子さんの飲み代分立て替えちゃったし」

「エッ!?いくら、出す出す忘れてたっ!」

なんて事だ、部下に立て替えさせるなんてっ


「3万円」
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