七瀬クンとの恋愛事情
迫りくる苦いキスと嘘
花菱商事との親睦会は、お座敷の会席料理
前菜からアレンジの効いた創作料理、石焼き料理など、普段食べられない食事にさらに美味しいお酒で、大いに盛り上がった
「んん〜〜♡ 美味しい、やっぱり自分で作らなくていい食事って本当に幸せ」
次はどの料理に箸をつけようか迷ってしまう
「それ、分かる。でも松原さんって一人暮らしなんでしょ? 自炊してるの?」
花菱商事女性の担当さんの加納さんは、私より2歳年上ですでに3歳と5歳の二児の母でもあるらしい
「してますよ、お弁当もちゃんと作ってます」
「あら、結構堅実なのね。いいお嫁さんになれそう」
この席にいる6人とも、まあ世代は同じ30代
私と高科課長を除いて皆さん既婚者だ
従ってお酒がすすむ程、自然と話題は仕事からそれぞれの家庭あるある的な話に
お互いも打ち解けあっているうちに、未婚の私でも久しぶりに同世代の気兼ねのない会話を楽しんでいた
「すでに行き遅れてはいますけどね」
「煩いですよ、高科課長」
せっかく褒めていただいたのに、チャチを入れるな
「松原さんならすぐに見つかりそうなのにぃ」
「はは、見つかりますかねぇいつかは」