七瀬クンとの恋愛事情
「は?」
夢中でしてたら頭の上からそんな言葉が
「…………結構恥ずぃ…」
街灯が照らすベンチに座らせて、脚の開いた間に入り込み濡れたズボンを拭いてるだけじゃん
「あ………」
でも確かに、これ私達の前を通りかかったら
「一体なにやってんだ? あのカップル」
ってなるか?
気がつくのが遅かった
とりあえずゆっくりその作業をやめた
「…………もう、いいっスか?」
「ごめん……も、大丈夫だと思う。帰るだけだしね」
「……………」
思いきり気不味い空気が流れる中、フッと息をついた七瀬くん
「酔い、醒ましょうか倫子さん」
そう言って、ベンチをトントンと指して隣に座る様に促された
今日は、朝から客先に行く予定だったためにいつもよりしっかりネクタイまで締めたスーツ姿の七瀬くん
うちの会社は、基本Gパン生地のものでなければ服装はラフでいいのだけど、
客先のメンテナンスがあるウチの部署は、比較的普段からワイシャツを着用する人が多い
そのスーツに私ときたら………あっ
「ああっ、お金!えっと3万だったっけ……
って、あの…………」
ガサガサと急いで鞄を探ぐるが、
しまったぁ、そんな持ち合わせはないし………
「あ、コンビニ行って下ろせばっ」