七瀬クンとの恋愛事情
「それにさぁ『適量』とか『お好み』って何グラムくらいなんだろう?
ってか10gってどうやって計ればいいんだろぅ?」
全く理解できないと頭を傾げる七瀬くん
それ、レシピ見てる意味ある?
「ぷっ」
ダメだ、面白すぎる
「倫子さん?」
「うん、はははっ、ごめん。あのね………ふっふクククッ」
笑いが止まらないまま
一生懸命やっていた七瀬くんの問題点を説明して
「コレはコレで大丈夫よ、味は付いてるはずだから、適量でお好みにハチミツをかければ」
それにもう1枚ずつ私の作ったフレンチトーストを加えて、紅茶を入れて朝ごはんにした
しかし、大さじ一杯の略もわからないなんて
家庭科の授業で習わなかったのか?
さすが実家男子、今どきは出来るか出来ないかの両極端なんだな………
これはこれで面白いけど、ククッ
「でも、なんで急にフレンチトースト?」
「……………」
あ、なんか言いたくない感じ?
もう完全に拗ねてるよ
「姉貴が、簡単だって言ってたんだ……酒飲んで帰ってきた次の朝、よく自分でフレンチトースト作って食べてるから」
「あ、へぇ………そうなんだ」
なんとなく聞き流すように目を逸らした
そう言っても、作ってくれたのは実は血縁関係では無い『姉』だったりして……なんて冷めた考えが頭をよぎる
『姉』とは、七瀬くんから何度か聞くワードだ。
同じ会社にいる彼から聞く唯一のプライベート