七瀬クンとの恋愛事情
昔の男からの業務命令





「うーーっ!」


背中を伸ばすと、思わず出てしまう声

休日はゆっくり過ごしたのに会社にいると自然と肩がこる

週末にあった事はあんまり考え込むのをやめて、まずは仕事に集中だ


そして月曜日の朝から始まるのは決まって座りっぱなしの会議

1週間の業務に、新規物件の割り振りや、先週からの保留業務などなど
やらなきゃいけない仕事は山ほどある


そんな中、週中での臨時会議ときたもんだ

今回、一部のリーダーと主任クラスの何人かがミーティングルームにと、招集がかかった

たぶん、大口の新規事業に関する話だろう

先行してたった噂によると、営業がかなり入れ込んで獲得した再開発事業だと聞いている


向かい側の席から視線を合わせてこちらに小さく手を挙げる高科課長に、ちょっと顔を引き攣かせながら会釈する

あのタクシーでされたキスはどうゆうつもりだったのか、これもなるべく考えないようにしよう

お互い酔ったうちの流れということにしておいて……

高科課長はたぶん、このプロジェクトの営業担当だろう

高科課長との仕事はどちらかと言えばやりやすい
営業としてこちらと客先との駆け引きを上手くまとめてくれるため、そこら辺に気をつかわなくて済む



だからあの時のことは思い出さないように、ちゃんと仕事に集中できるようキリリッと気持ちを整える

「松原、どうした?険しい顔して」


私の隣に座る脇谷くんがそう言うから、思わず人差し指で眉間についたシワを伸ばした


暫くして始まった会議は、思った通り新規の再開発事業での話がメインとなった

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