七瀬クンとの恋愛事情
会議は滞りなく終わり、後に続く仕事の段取りを考えながら片付けに入ると
「松原さん、ちょっと」っと、
社長の後に続いて会議室を出る専務が一度足を止め、そう言って軽く手招きをした
「わたし、ですか?」
執務室にある黒皮の2人掛けソファーに浅く座り、目の前に座る宗馬社長と専務からの話に私は眉をひそめた
「え、お見合い………ですか?」
今度、再開発のゼネコンに挨拶に行く営業と一緒に同行して、その後に先方の社員とそうゆう席を設けてあるという
「そんな堅苦しいもんじゃないんだ、ただ今回のプロジェクトで先方と会食した時にたまたまそうゆう話になってね………」
ニコニコと悪気無くそう言う専務の隣で、少し申し訳なさそうな表情の宗馬社長
「……………なぜ私なんですか?」
正直話を聞いてても、理解出来ない
なによりこの人達は、私の将来の相手について口をだせる立場なのか?
あらか様に不機嫌な気分を隠せないでいる私
「向こうの責任担当者の人が君の事を知っているらしくて、是非個人的に紹介してほしいとおっしゃられてね」
「私を?」
しかし、その担当の名前を聞いても覚えがない
「それがどうしてお見合いって話になるんですか?」
「親睦だよ、この先より良い付き合いが出来るための余興みたいなもんだ」
得意げにそう言う専務だが、
この狸ジジイ、本当に私に対して悪意がないとは思えない
「専務、余興なんて失礼だよ」