七瀬クンとの恋愛事情
少し強い口調で社長がその調子に乗っている専務の口を黙らせる
「すまない松原さん。ただ企画担当として君も顔を合わせる相手だから、それを兼ねて食事したいと、もちろんその後話を断るかどうかは君次第だよ」
社長に叱責され、口を引いた専務は
「とにかく向こうの写真と釣り書きを持ってくる」と一旦部屋を出た
「……………」
「……………」
応接ソファーに向き合って座ったまま、2人になって少しの間、沈黙が続く
「………それなら初めからお断りします。今は必要ありません」
「悪いけど向こうからの要望で、出来れば会ってからにしてくれないか?」
「私は………っ」
こんな面倒なことに関わっていたくないだけなのに
相手は仕事先、断れば気まずくなるに決まっている
「それともやっぱり誰か決まった人がいるとか?」
「………いえ」
ついこの間失恋したのか?と聞いてきたのは、この話のためだったのかもしれない
「ただの親睦の場だと思えばいいさ」
まるで親切な話しでもしてるかのようなその物言いに、 私は溜め息をついた
「会社のためならの社員の事も平気で利用するなんて、あなた達らしいですね。でもまさか私にまでそんな話を持ってくるなんて………」
分かるくらいの嫌味を込めた私の言い方に、困った様に目尻を下げて小さく溜め息をついた
「決してそうゆうつもりはないよ、私だって君の相手を自分から進めたくはない」