七瀬クンとの恋愛事情
「…………すまない」
結局この人はこの会社の総取締役なのだ
そうよねぇ、
いつまでも元カノが会社の従業員として居座っているのは、気分の良いもんではないだろう
綾子にも顔が立たないだろうに
………いや、違うか
いつまでも昔にこだわっているのは、私なのかもしれない
「私も言い過ぎました。そんな風に謝ったりしないで下さい、わかりました業務としてなら仕方ないです」
まるで心臓を鷲掴みされたような息苦しさから思いっきり深呼吸して落ち着かせ、
ゆっくり社長に一礼した後一人執務室を出た
部署に帰り気を取り直して午前中の業務に集中しようとしてたのに
「松原さんっ」
私を追いかけて来ていた専務にギクリと肩を上げた
専務の手には如何にもと言わんばかりのモノが
「はい、これ。先方からのお見合い写真と釣り書きね、時間や場所に関してはまた後日連絡するから」
事もあろうに、みんないる部署内でそんな事をあらか様に言い放った
「ちょっ!あの………っ」
この無神経狸ジジイはお構い無しみたいだ
何のために執務室に呼ばれたんだか、
思わず頭を抱えた
「……………」
嗚呼ァ………
いっぺんに部署中から好奇心という視線が集まっている気がする
「お見合いってなんスか?主任」
「………別にただの食事会よ、業務の一環ってか仕事に戻りなさい七瀬くん」
私のブースには報告書を出すだけでしょ?