七瀬クンとの恋愛事情
「これ、見ていいっスか?」
無造作に置いたお見合い写真と釣り書きを指差されても、見る気にもならない
ガタッ、バタンッ
目の前でそのまま机の中にしまいこんだ
「ケチ」
少し目を細めて、そう小さく低い声を落とす七瀬くん
この状態になんか、イライラする
「会議の概要を聞いておくように言われたんですけど、脇谷主任に」
「え?」
「橋下リーダーの代わりにプロジェクト参加要請されました」
入社3年目の七瀬くんがリーダーとして?
「本当?すごいね………」
でも、確かにそれもありなのかもしれない
橋下くんには別口の固定担当があって、疎かに出来ない分負担がかかり過ぎるし
そう考えたら補助としてつけるよりリーダーとしてやらせた方が効率はいい
が、
「山下くんは?」
順番からしたら一つ上の山下くんからじゃない?
「脇谷主任のアシスタントにつくらしいです」
なるほど、脇谷くんめ、自分の楽に転んだ訳だ
確かに、山下くんの方が補佐として効率がいい
「わかった、昼からミーティングルームで」
「すまないっ!倫ちゃん」
お昼前に部署の入り口で高科課長に手招きされ、無理やり連れて行かされ仕方なくランチへとやってきた
「どうゆう事なのか説明してください」
先方と私についての話題は元々高科課長との顔合わせからはじまったらしい
「まさかあっちに倫ちゃんと面識があったなんて知らなかったんだ」