七瀬クンとの恋愛事情

ひとまず公園を出て駅に向かうけど、
やっぱり公園でさらに水で拭き取った七瀬くんのスーツの濡れ具合が気の毒で、

途中でタクシーを拾うことにした


「倫子さんも同じ方向ですよね、勿体無いから一緒に乗って帰りましょう」



まぁ、確かに方向は一緒で、私の方が先に降りる事になるが、この場合やっぱり迷惑かけた彼を送るつもりで同乗した




静かな車内で、座高の違いから目を合わせることもなく、車窓の外を眺めていると、
頭の上からフッと思い出し笑いのように七瀬くんが息を吹き出した


「…………なに?」

「いえ、倫子さんってあぁゆう事が咄嗟に出来ちゃう人なんですね」


見れば、その含み笑いを押さえながら言う


「あぁゆう事って?」


「シミ抜きとか」

う………っ


「ババ臭いって事でしょ?どうせ………」

「違いますよ」


車窓の外に顔を背ける私の、明らかに視界に入り込むような近さで覗き込んできた

「バカ正直で、一緒にいて楽しいです」


「バ………っやっぱりバカにしてるっ!」

彼の、いつもどこか上から目線なのが気に入らない

しかもそれが社内で自然に許されている
これだから見栄えのいい男ってヤツは……




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