七瀬クンとの恋愛事情

「はっ?え……ええっ?!」

何? あの人今、『旦那』って………
そうゆう事?

「倫子さん、あのね…」


「まさか、不倫なの?」

「だから、なんでそっちに……」

小田さんが出て行った玄関を指差して七瀬くんを見ながら、私は眉を歪ませた

「だってっ!あの人が、七瀬くんの身体がって、また貸してって………えっ?それなのに旦那?!」

私の頭で小さな爆発が起きていて、言いたいことが支離滅裂だ

あなたは私との関係より、もっと刺激ある珍味に走っている訳?!

なんだか煮えるくらい頭にきた

「落ち着いて倫子さん、違うから」

両手首を掴まれて正面から顔を突き合わせてきた七瀬くんを私は精一杯睨みつけた
なのに、
なんでそんな嬉しそうな顔してるのよっ?!

「あ、それって………妬きもち?」

「はっ?」

こめかみにプチッと音が鳴る

「違うしっ!
っていうかなんで笑ってるの!?」

訳が分からないままに腕に抱き込まれて身動きが取れない

きゅうっと、身体いっぱいに包まれながら耳元で
「俺、あの人に指一本触れてないんだけど」
って………

「えっ?」

顔を上げれば合わせるようにまた突き合わせてきて、ニカッーっと微笑んでいる


「ちゃんと聞いてくれる?倫子さん」


「……………」


< 165 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop