七瀬クンとの恋愛事情
魅惑な後輩との甘い夜?
いつもは最寄り駅から真っ直ぐ8分くらい歩く家への道のりを、タクシーで反対方向からマンションの前に止めてもらう事にしたのだけど………
「あっ…!」
タクシーがそこに近づいたその時、
マンションの前に見覚えのある人影を見つけ、思わず座席に頭を下げた
嘘っ、どうして……?!
「あ、あのっ! すみませんがこの先の駅まで行ってもらえますか?」
その態勢のまま、私は運転手さんに急いでそう伝えた
「どうしたんですか?」
私のその様子に隣に座る七瀬くんが首を傾げた
「…………っ」
ここでとりあえず駅に行ったからって、その後どこに行ける訳じゃない、
あの人があそこにいる限りマンションに帰れば会わざる得ない
タクシーはそのまま、築15年くらいになる自宅のあるマンションの前を一瞬通り過ぎた
あの人がすぐそこにいると思うと身震いまでする
だんだんと冷たくなる両手指先を摩り合わせた
でも、どうしよう…………
駅にはすぐについてしまう
たぶん私が駅から出てくるのを見据えてあの場で待っているんだろう
「あ、あのごめんなさい、やっぱりここで…」
あんな風に待ち伏せされて、今日は逃れたとしても、これから先なんの解決にもならない