七瀬クンとの恋愛事情
頭の中が一瞬、真っ白になった
待て待て考えろ俺
「七瀬?」
アレを見られていたのならそれも責められてもいいはずだ。倫子さんには気が付かれなくて、見られてないのかもしれない
隣の部屋の小田さんとの勘違いだってあんなに責められたんだから
いや、でも確かに飲み会の後の倫子さんはちょっとおかしかった
「やっぱり古坂じゃないのな」
「え?」
「お前の内緒の彼女」
俺の思考中の内容とは別に、まずその誤解は正さないといけない
「………古坂じゃないっス、何と言うかあの時は成り行きで…」
誰に対しての言い訳って事じゃないが、脇谷主任を前に思わず狼狽えてしまう
そして俺のその説明に、ふうんっと脇谷主任は鼻を鳴らして目を細めた
そう言えば、俺が彼女とラブラブで手を繋いでいたのを見たと言っておいて、その彼女が誰かわからないって事はやっぱり嘘なんだろう
倫子さんを脇谷主任がわからないはずはない
「………そんなに気になりますか?俺の彼女が誰か」
逆に本当は気づいているのかもしれないが
「いや、あんまり周りを振り回すなって事だけだよ」
「…………っ」
脇谷主任のその一言が俺の心臓に突き刺さった
「なに?誰が振り回すって?」
もう少し話を聞く前に、タイミング悪く山下さんが水を持って戻ってきた