七瀬クンとの恋愛事情
なんだか名取がいきり立っていた
「どうしたんっスか?」
「あ、いいとこに来たわ七瀬くん」
こっちが話がしたいのに、これじゃぁ話はまた後にした方がよさそうだ
「七瀬くんのアシスタントに安藤さんをつけることにしたから」
そう言われて「よろしくお願いします」と安藤が頭を下げた
派遣社員としてまだこの春に入ったばかりの子だ、多少頼りないが扱いやすいかもしれない………で、なんで揉めてんだ?
「七瀬さんのアシなら私の方が仕事の容量だって分かりますっ!」
「だから名取さんは私についてもらうんでしょ?仕事の書類をまとめるのはあなたの方が上手いんだし、七瀬くんの方はとにかくトレースと数字に強い子の方が助かるの」
自分より多少身長のある名取を見上げてニコリと諭すように笑顔で返すと、不満気な名取も何も言えない
「でもっ…」
こうして仕事に対してゴリ押しする倫子さんは結構迫力がある
「これでもすごく頼りにしてるんだから」
それでも倫子さんの決定にまだ納得はしていないみたいだが
まぁ、俺としてはその方がやりやすいな
「松原主任のアシなら名取さんもいい勉強になるよ、頑張って」
軽く彼女の頭をポンっと叩くと、励ましたつもりだが少し眉をひそめて俯いた
「………?」
「じゃっ、私はこれからまた会議だから」