七瀬クンとの恋愛事情
「あの、私と一度お会いしてるって………」
「そう、思い出してくれました?」
少し嬉しそうに身を乗り出した鈴木さん
「あ、いや、そう聞いたんですが、すみません私は覚えてなくて」
あれから考えてみたが、今目の前にいる彼の姿だったら少しは覚えていただろう
「パーティーって事は、あの婚活パーティーでですか?」
もし違ったら失礼になるが、恐る恐る聞いてみると、鈴木さんはコクリと頭を下げて笑顔を見せた
「そうです。確かに大人数での会場でしたからね、覚えてないのも無理はないです。
でも、お話はしたんですよグループのできた団体の中でひと言ふた言でしたが」
「そ、そうでしたか…」
会場の中は男女合わせて約80人ほどだったっけ
「でも、松原さんは男性の中で人気のあった方とカップルになられてましたよね」
「………はい」
そうだった、途中から豊田さんに声をかけられて、その後はずっと彼と話していたんだ
「その後、その方とは?」
顔を傾けてジッと見つめ直された
「えっと、ご縁がありませんでした」
「そうでしょうね」
間髪入れずにそんな風に言われた
「え?」
「あ、いやすみません、違うんです。実は……
最近また別の婚活パーティーにお相手だった彼がいたものですから」