七瀬クンとの恋愛事情

「もちろん」

私の隣で身に覚えのない答えをする高科課長
繋がれた手に少しキュッと力が入った

これって、とりあえず合わせた方がいい感じ?
お芝居すればいいってこと?

ジッと私を見る目の前男性は、私の答えを待っている


「あ………はい、そっ、そうなんです実は」


「はぁっ?!」

鈴木さんは私を見て、顔を歪ませ目を釣り上げて細めた



「じゃあまた、僕は出遅れたって事ですか?」

片手で目頭を押さえ、うな垂れた目を再びこちらへ向けると眉をひそめた

ジッと私の一点を睨んできた鈴木さん


「?」


「…………じゃあそれは高科さんが付けた跡なんだ」

ゆっくりと私の首元を指差した

「キスマークでしょ?それ」

「あ、」

咄嗟にピンポイントで七瀬くんに付けられたキスマークを手で隠してしまった

しまった………!
ファンデーションが時間が経って落ちてしまってたんだ


「お見合いにそんな跡つけてくるとか、まさかなぁとか思ったんですけど」

「え…?キスマーク?」

高科課長も確認するように覗き込んできた


「ち、違いますっ!! 虫ですよ虫。なんて言っても私のマンションは築何十年ですからっ」

もうっ、やっぱり恥かいたじゃない!七瀬め




「ああ、これはそうだよ」

隣から伸びる指先が、真っ赤なった顔を押し上げて首元を触る


「昨日、俺が付けた跡だ」


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