七瀬クンとの恋愛事情
「それにしたって、いきなり乱入して勝手に恋人宣言したのは悪かった、ごめんっ」
テーブルに両手をついて思い切り頭を下げた
高科課長
「……いえ、でも正直びっくりしましたけど」
ただ話の方向性は違うところにあったような
このまま、これからはお見合いは気にせず本来通常の仕事ができればいいんだけど………
そのままいつまでも頭を上げない課長
「あ、頭上げて下さいっ」
「…………」
「課長………?」
顔を傾けて、まだ上がらない課長の顔を覗き込んだ
「………本当実際にさっき、言った通りにしてれば良かった」
額をテーブルにつけ、尚も顔を上げないまま小声でそう言った
「言った通りって?」
聞き取りづらい課長の声に耳を傾けた
「……このお見合いの話が出た時ちゃんと、
ちゃんと告っとけばって………いやそれよりもっと前から」
ゆっくりと顔を上げて、真っ直ぐ目の前の私を見据えてきた
「俺個人として、お見合いをしてほしくなかったんだ、倫ちゃんに」
「え?」
あれ?
これってもしかして………?
いやいや、でもいつもからかってくる課長だし
「わ、私はお見合いしたかった訳じゃないし、社長にこれからの仕事上の付き合いとしての席だって言われたから………」
「………違うよ、こんなタイミングで不本意なんだけど、倫ちゃんには俺の気持ちを聞いて欲しい」
いつもからかってくるのとは違う
真剣な眼差しで、いつもと違う低めな声色で正面きって座り直した課長
「俺、倫ちゃんのこと、結構前から好きだったんだ」