七瀬クンとの恋愛事情
「…………っ」
突然の告白って
只でさえ、今これから仕事上のお見合い相手への失礼な態度をどう弁解しようか考えなきゃいけないのに
こっちはこっちで、カモフラージュのための恋人役に告白されて
「ちょ、ちょっと待って下さい…」
これは、どう対処すれば良いのか
「七瀬か?」
「へ?」
「あいつが前々から倫ちゃんにちょっかいかけてたのは分かってたが、そのキスマーク…」
目の前で指刺され、思わずまたその首筋を手で覆った
「振り回されてるだけなんだろ?まさかあいつと付き合ってたりなんか」
「…………っ」
まさかここでその名前が出ると思わなかった
付けたのが七瀬くんだって分かってたんだ
「倫ちゃんがどうゆうつもりかは知らないが、あいつはやめておけって」
真剣にそう言う高科課長にドキッとした
「大体、もともと女の噂が絶えない奴だし」
それは七瀬くんに対する心無い噂で、この前課長が言っていた【ふぇると】のカナちゃんの事だって大方は誤解だった
私としては噂より彼の心意を見極めたいけど、考えてみたら七瀬くん自身のこと、それほど知っている訳じゃない
古坂さんとのことだって……
「倫ちゃん」
「今七瀬くんは関係ないです」
下を向いたままテーブルに置いた手をキュッと握った
「それって、付き合ってるって言えるのか?」
「…………」
わかってる、課長が真剣に私に言ってくれてる事も