七瀬クンとの恋愛事情
「俺なぁ、倫ちゃんが社長と付き合ってた時一度諦めたんだよ、仕方ないって………
別れたからって簡単にじゃあ俺となんて絶対に思わないだろう?」
私に語りかけるように静かに話し出す
「あの頃の倫ちゃんがどれだけ辛い想いだったかも知ってるから、暫くは見守るつもりで絡んでいたんだが」
両肘をついて腕を組みながら肩を上げ、少し前屈みで話す課長
「そしたら倫ちゃん、外資系のサラリーマンと付き合いだしたって言うからかなり焦ったっけな、ハハッ………」
ああ、豊田さんのことだ
「………もう、倫ちゃんには傷ついて欲しくないんだよ。無理して頑張りすぎじゃないか?仕事も、それに恋愛も」
「………別に、無理なんて」
目を逸らしたままでしか言えない私の、その言いぐさに小さく溜め息をついた
「じゃあ、あいつと結婚まで考えてるのか?」
「………え?」
「七瀬とは会社でコソコソ付き合ってて、それって結局何かの予防線張ってるってことだろ?」
「…………」
「そんな事してて今は楽しいかもしれないけど、後から泣く事になるんじゃないのか?
身体はデカイ大人でもまだ社会人3年だ、男として遊びたいだけだろう」
「……………」
分かっているだけに、何も反論出来ないや
「………ごめん」