七瀬クンとの恋愛事情
俯いて黙ったままの私に、頭を掻き上げながら視線を落とした課長
「俺なんかにとやかく言われたくないよな。
実際こんなずるいカタチで倫ちゃんを自分に引き込もうとしてるんだから………」
「………いえ」
軽く頭をふるふると振った
「でもな、俺はちゃんと倫ちゃんとの将来だって考えてるんだ」
「…………え」
「打算的に考えろとは言わないが、少なくとも倫ちゃんのペースで仕事だって結婚だってさせてやれるし、収入も貯金だって生活力もあるつもりだ。もちろん借金だってない」
高科課長が真剣なだけに、胸が痛い
実際、私は七瀬くんとのことをどうするつもりでいたんだろう
付き合いを隠していたのは、課長の言う通り予防線なんだろう
「いつか七瀬の気が他に移るだろうって、思いながらこの先も付き合っていけるのか?倫ちゃんは本当にそれでいいのか?」
私は………もうこの先の仕事とか結婚とか出産とか、考えなきゃいけない年齢だったんだ
ファミレスの窓から駅へ向かうサラリーマンやこれから食事に行くのだろうOLたちをふっと眺めると、
その中のどれだけの人が思い通りの人生をすごしているんだろう