七瀬クンとの恋愛事情
社長が20代に10人程で立ち上げた会社を、
コツコツと拡大していき創立15年ながら自社ビルを建て
いまでは社員80人ほどの株式上場
主に2、30代のプログラマー達のオタク脳で成り立ってる会社だからね
「倫ちゃん、どうした?」
肩を揺らしながらビールのグラスを持って、空いた私の隣の席に座る
高科大和(たかしなやまと)営業課長
大体あなたが「倫ちゃん」なんて呼ぶから、後輩たちにまでナメられてしまうんだ
「主任、ちゃんと飲んでますかぁ〜」なんて、誰に向かって言ってんだ?
大学出たての君たちより8年も7年も長く社会人やってんだから
普段は割り振られた仕事に苦言ばかりのくせして、今日はここぞとばかりにビールビン持って注ぎにくる後輩に、
とは言え私もいちいちグラスを空ける
「飲めるねぇ、一体そのちっさい身体のどこに酒が入っていくんだ?」
そう言いながら高科課長も、注がれたビールに口をつけて私の頭を撫でる
「ぐぐっ………ちっさい言わないで下さいって」
もう立派なアラサーなんです!
「まぁ、いいんじゃないの?倫ちゃんが可愛いからかまってるんだし」
「…か、可愛いって…………」
でもそれってば、どうせ上司としての尊敬や女性としての恋愛の対象にはならない域なんだろう
褒められた気がしなくて、つい溜め息をつくと、高科課長が私の目の前から顔を覗き込んできた
「ところで倫ちゃん、この前付き合ってるって言ってた外資系の彼とはどうした?
結構束縛系だから飲み会は控えるなんて言ってたのに今日はいいのか?」