七瀬クンとの恋愛事情
ここで課長に告白までされたなんて言ったら話がややこしくなるし、
ちゃんと上手い説明が思いつかなくて、言葉を躊躇うように飲み込んで黙ると、そのピンッと張り詰めた空気の中で、
私の携帯のメッセージアプリの着信を知らせる音が鳴った
その音に、
2人同時に視線をスマホの画面に向けた
「あ…」
隠す必要もなく内容文を七瀬くんの目の前で開けた
高科課長
【 悪いけど明日出勤前にふぇるとに来れる?
もう少し話しておきたい事があるから 】
「…………」
なんてタイミングが悪い
とりあえずそのままのスマホ画面から、仕方なく返信を返した
ひと息溜め息をついた後、なんとも言えない雰囲気を誤魔化すように途中だったお茶を入れようと七瀬くんから背を向けて、沸かしたお湯を急須に入れた
「お見合いは終わったし、鈴木さんとはこれから仕事で会うだけ、高科課長とだって別に一時的な嘘なんだから」
「なんかそれ、いい訳みたいだね」
「…………」
頭上の後ろから彼の低い声のトーンは変わらないまま
とりあえずトレーに乗せた2つの湯のみを持って、私の後ろに立つ七瀬くんを通り過ぎてリビングのローテーブルにあるたこ焼きの隣に置いた
「………せっかく七瀬くんが買ったたこ焼き、温かったのに冷めちゃうよ。食べよう、ね」
立ったままの七瀬くんに床をポンポンと示して隣に座るように笑顔をつくって促した